本の感想の感想

読書の後の備忘録

「遠い山なみの光」の感想・書評

遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)

 45点

 

ノーベル賞作家であるカズオ・イシグロがベッカー賞を受賞した作品ということで読んでみた。

どうもよくわからない、何とも言えないような小説であった。

味があるようにも思えるのだが、感銘を受けたというわけでもない・・・いい、悪いということができない感じで、もう一度、あるいはさらにもう一度読んでみないと、わからない、という印象だった。

何も見るものがないというわけでなく、こちらが把握しきれない、そういう印象。

あとがきの解説にも書いてあって全く同感だと思ったのは、薄暗い、しかし薄明るい、そういう色合いがかんじられること。

やはりこの作家の作品なら、まずは日の名残り (ハヤカワepi文庫)がいいと思う。

 感想の感想(カギ括弧内はamazonから引用)

「原作を読むと、終盤に衝撃的なストーリーの転換があります。日本語版は最後まで淡々とした描写で終わっていきます。全く趣の異なる本になってしまっています。これは翻訳者のミスです。」

→原作を読む英語力があれば検証できるのだが・・・非常に気になるコメントだ。

「何度考えてもよくわからない。自分の貧しい読解力を嘆くばかりだ。」

→この方のコメントは、色々なところに思いを及ばせて考えておられた。その方の最後の一文。いまさらだが、自分が本を「読解する」という視点を忘れていたことに気が付いた。そのため、あえてここに挙げた。ただ眺めるのではなく「読解」する・・・(くるしいいいわけを言えば、読解する気にもならない本というのも、少なくないせいだと思いたい)

「私はカズオ・イシグロさんの作品ははじめて読んだが、著者の着想と構成のすばらしさと、翻訳者小野寺健氏のつむぎだす日本語訳に深い感銘を受けた。」

→訳がひどいという人もいれば、このように言われる人もいる。私は、原文を読んでいないので何とも言えないが、日本語としてかみ合わない感じが、印象として残っている。