本の感想の感想

読書の後の備忘録

「皇帝と拳銃と」の感想・書評

68点

 

刑事コロンボ古畑任三郎と同様、犯人と刑事のやり取りを楽しむ刑事もの。

おもしろい。

やっぱり、まずはこの設定がいい。犯人が分からない普通の推理物だと、事実関係や設定を頭に入れるのがそれなりに大変。その点、この設定だと、最初から、スリルを楽しむことができる。あたかも、自分が犯人になったかのようなスリルを。

それから、「死神」のあだ名の刑事役に強い個性が、まだないのがいい。

個性が抑えられている。淡々と刑事の職務を果たしている。

そこに、迫力もあり、緊迫感もあり、魅力がある。

ただ、今後、この死神の個性がより出てくると、もっとおもしろいと思う。

 

古畑任三郎以降、この設定の刑事ものは私には覚えがないので、ドラマ化される可能性もあるだろう。

 

感想の感想(カギ括弧内はamazonから引用)

「前半はいかにも倒錯ものらしく明確な矛盾点が指摘されておりスッキリする。後半は鑑識課レヴェルの細かいトリックと下手したらバカミス狙い?と疑う内容でガッカリした。」

→確かに後半は、トリックとしては今一つともいえる。ただ、細かいトリックである分は人間の魅力でいくらか補ったという感じもする。

最後のトリックは、トリック自体には魅力がなかったが、死神がわずかに個性(あたたかみ)を見せたところに、光るものがあった。

「その分野のミステリーの醍醐味の一つといえば、犯人と探偵とのヒリヒリする心理戦ですが、その意味では探偵役の“死神”こと乙姫警部は犯人を追い詰めていくキャラにピッタリだと思います。一方、対戦相手としては、表題作の「皇帝と拳銃と」の皇帝や「恋人たちの汀」の演出家の犯人像は傲慢で自信家で良く出来ています。」

→「皇帝と拳銃と」は、私も一番面白かった。傲慢キャラが魅力だ。

 

皇帝と拳銃と