58点
とある質屋の話。質屋には、いろいろな物が流れてくる。その流れてきた物に絡んで、色々な物語がある。それらを丁寧で、品のある文章でつづっていく。
そういう内容。
まず美しいなあと思ったのは、質屋に流れてくる物それ自体。骨董や、人形、かんざし・・・そういうものの造形の美しさと、作る人、使う人の心を美しく描いている。(作家に白洲正子という人がいる。この人は主に日本の伝統工芸品の美しさを本にしているのだが、彼女の本を思い出した)
それから、味がある。文章や雰囲気に。
それと、質屋なので目利きの話が出てくるのだが、これが魅力的。偽物と本物、これを見分ける目。こういう話はどうしてもわくわくする。偽物にだまされるのも、その偽物の出来をたたえたくなる。また、巧みな偽物を見破る目を見ると、それにも憧れる。
ただ、惜しいところもある。まず、話がややあいまいなところが感じられ、わかりにくさがある。それは話の進め方の問題でもあると思う。
また、それとの関係で、やや長く感じられた。ずっと読んでいたいというよりは、一冊を何とか読み終えたという感じ。これ以上長くなったり、続編があったりしても、もっと読みたいという気持ちはそれほど強くはない。
感想の感想
まだ感想は見当たらない。