本の感想の感想

読書の後の備忘録

「花火」の感想・書評

火花

75点

 

 又吉(さん)が、芸人の生き方について書いた小説。

 話題になったので、ずいぶん遅くなったが読んでみた。

たいへんよかった。

まず、読み終わって悲しくて悲しくて・・・芸人の生き方、おそらく多くの芸人が多かれ少なかれ同じように生きるであろう、そういう生き方、それを小説にしている。リアリティがあり、そのことも悲しさを感じるが、それ以上に、才能との関係で、悲しさがある。才能、これはおそらく、「芸」で生きる芸人にとっては、すぐわかるのだろう。

あいつの芸はすごい!と。

そういう芸・才能に憧れ、それを望み、努力し・・・そういう才能への憧れと渇望が読んでいて苦しい。

「花火」とは、打ち上げたいと願う才能の爆発であろうか。

 

芸人に対する見方も変わった。どうしても、バカみたいなことをして人を笑わしているだけ、というマイナスのイメージが付きまとっていた。それが、そうではないんだと、笑いに対して真剣に取り組んでいるんだと、そういうことが分かった。

確かに、よく考えてみれば、真剣に取り組まなければ、あんなにおもしろいはずがないのだ!

 

感想の感想(カギ括弧内はamazonから引用)

「哀しく切なくなりました。あまり好みではありませんでしたが、選び抜かれた言葉で綴られた作品だと感じました。」

→同感。ただ、選び抜かれたという感じはそこまで受けなかった。

「お笑い芸人の取った芥川賞と微妙に期待してなかったけどそのするべき期待の何倍も面白かった。笑いに対する何かが迸りまくってるのに空回りな神谷とそれをわかっちゃうが故に自分が歯がゆい徳永の二人の描写が最高。」

→私も同じように期待を裏切りられた。神谷のぶっ飛び方は、自分とかけ離れすぎて、それだけでも新鮮だった。

「この内容から何を得られる?
所詮人よりいっぱい本読みました程度の人間が書いてるだけ。」

→私は不賛成。何通りも読み方ができそうで、色々なことを知れる、考えられると思う。そういう内容があるだけでもすごい、と私は思った。