「君の膵臓をたべたい」
45点以上
この本では、号泣ということはなかった。
ただ、思わず涙が出そうになったシーンが一つだけあった。
母親から日記を渡されるところだ。
どうして涙が出そうになったのか自分でよくわからない。
その日記を渡すべく持っていた母親の気持ちを想ったのかもしれない。
あるいは、ヒロインがいなくなったという喪失感が、急激に感じられたからかもしれない。
全体を通して思ったのは、一つだけ。
山内桜良の生き生きとした姿と、その彼女がいなくなったことの強烈な寂しさ、である。
彼女の魅力は、まさに生きているというところにある。自由に、元気に、頑張って・・・そのはつらつとした姿に憧れを感じる。
その彼女がいなくなったときに、それほどはつらつとした姿があざやかだっただけに、どうにもならない悲しさを覚えた。
こんなすてきな彼女と一緒に過ごした時間を長くもった主人公は、どれほどつらいだろうかと思った。
(あまり私が高くは評価しなかったのは、やや深みに欠けると思ったからだ。これは私が年を取りすぎて感覚が鈍くなった、ということなのかもしれない・・・)
最後に、自分もこんなすてきな人といっしょにいたいと思った。
きっと誰もが思うだろう。