「オレとO・N」
野村 克也 (著)
80点以上
本当にすばらしい本だった。
私は野村監督(尊敬も込めて、こう呼ばせていただく)の本をたくさん読んでいるわけではない。
今まで読んだのは、野村監督がエースについて論じた本だった。
悪くはないと思ったが、この本はそれとは比べ物にならないと感じた。
よかった点を順に挙げる。
①率直に書いていること
今なお野球界とかかわりがある野村監督が包み隠さず、書いている。
書きにくいこともふんだんにいれて。
それは、決して容易なことではないと思う。まして、最近は遠慮して記載を抑えることも多い。
野村監督が考えたこと、今考えていることを知れる、これは本当に良かった。
②野村監督の野球への姿勢が知れること
野村監督は、最初からエリートの道を歩んだ野球選手ではなかった。その野村監督が、いかにほかの選手に嫉妬し、いかに工夫し、いかに実力を高めていったかがわかる。
その記載を見ると、野村監督に対して尊敬の念が自然に生まれてくる(と思う)。
③野村監督が暖かく、厳しく、今の野球界を見ていることが分かること
野村監督は、イチローや落合監督や、田中投手等、色々な今の選手を挙げて、論じている。その言葉からは、鋭さと、暖かさを感じる。
果たしてその見方が正しいのかどうかは、私にはわからない。ただ、そのような暖かさとともに、他ではあまり聞かないような見方を知ることができる。
マイナス点も挙げておく。
これは、やや野村監督ご自身の自慢を入れていることだ。
しかし、選手としても、監督としても、十分な功績をあげられた野村監督のことなので、これぐらいはほほえましいと思いつつ読みたいと思った。