本の感想の感想

読書の後の備忘録

「マスカレード・ナイト」の感想・書評

マスカレード・ナイト

52点

 

 とある一流ホテルに、殺人事件の犯人が現れるという情報が警察に入った。一方でその一流ホテルには、色々な要求をする客が現れる。その客を、超一流のホテルマンがさばいていく。

そういう内容。

別につまらないという本ではない。それなりに見せ場もあり、それなりにおもしろい話もちりばめられている。

ただ、佳作という感じなのだ。

本物のミステリー、あるいは強い個性を持った作家(湊かなえ等)と比較すると、どうしても小粒に見える。

そんな小粒な作品でも、読ませてしまうのが、この作家の巧みなところではあるのだが、人に勧めたいとは思わない。

 

感想の感想(カギ括弧内はamazonから引用)

「最近の東野作品にみられる「コレジャナイ」感はなんなんだろう…。前作「素敵な日本人」のような、ディテールがさほど必要ではない短編であれば東野さんの筆力が遺憾なく発揮されていると思うが、こと長編となると冗長さにゲンナリしてしまう。・・・謎解きまでほとんど伏線、というものがないために、「謎解き」「告白」がないと物語が終わらない。」

→そう、「長いな」と思わせるのだ。

伏線がないから、というのは私が気づかない視点。そういわれるとそうかもしれない。「謎」「伏線」というのが物語を読むうえで、引っ張っていく要素を持っているのは確か。

「現実感がなくて、頭の中で作られた作品といった感じです。コンシェルジュに対する要求にしても、現実感がないし、ストーリー自体が、観念的でゲームっぽい。」

→同感。コンシェルジュ(ホテルマンじゃなかったか)に対する要求ややり取りや、確かに現実感はなかった。

もっとも、私が気になったのは、その現実感のなさではなく(現実感がないからこそ小説、という面もあると思うので)その作られた要求にあまり魅力がなかったことだ。